

姫路の北、夢前町の山あいに蔵を構える壷坂酒造の代表銘柄が「雪彦山」。蔵名は近くにそびえる修験の山・雪彦山に由来する。地元播磨産の山田錦と山からの清流で仕込む、いかにも播磨らしい辛口の食中酒だ。
香りは控えめで、米のニュアンスがほのかに漂う程度。香りを楽しむ酒ではなく、口に入れてからが本番のタイプ。
含むと、山田錦の旨みがいったん広がるものの、すぐに日本酒度+6前後のシャープな辛さが追いかけてきて、後口は驚くほどきれいに切れる。甘さの残りはほとんどなく、酸も適度に締まっているので、飲み飽きしない。冷やすとキレがいっそう際立ち、常温では旨みがやや顔を出す。播磨の辛口らしい、潔い後口が身上だ。
ペアリングは、白身魚の刺身や塩焼き、冷奴、塩の天ぷらといった淡い味付けと好相性。辛口でキレるぶん、刺身を口直ししながら盃が進む。脂の強い料理よりは、出汁や塩で素材を活かした和食に寄り添う。
四合瓶で1,500円前後と、辛口の食中酒として手堅い価格帯。山あいの蔵が守る、媚びない播磨の辛口を試したいときの定番候補に挙げたい一本だ。