

「クラシック仙禽」の雄町は、同シリーズの亀ノ尾と飲み比べてこそ面白い一本だ。せんきん酒造は生酛系の同じ設計図で米だけを変えており、亀ノ尾がシャープで軽快に振れるのに対し、雄町は明らかに腰が太い。雄町という品種が持つ独特のふくらみと、生酛由来の酸が真正面からぶつかる構図になる。
口に含むと、まず雄町らしい厚みのある旨みが広がり、追いかけるように生酛の酸が骨格を組み立てる。日本酒度はマイナス、酸度2.0前後で、甘みと酸の押し引きが長い余韻を残す。アルコール度数15%の原酒で、亀ノ尾よりわずかにボリュームがある。亀ノ尾が刃物なら、雄町は鈍器のような充実感だと言ってもいい。
温度を上げると雄町の旨みがほどけ、酸が丸くなる。冷やでも飲めるが、この酒はぬる燗で化ける。料理を選ばない懐の深さは、クラシックシリーズの中でも随一だ。
ペアリングは濃い味に振りたい。豚の角煮、すき焼き、ブルーチーズ、鴨のロースト。脂と甘辛い味付けに対して、雄町の旨みと生酛の酸が双方向から受け止める。
価格は四合瓶で2,200〜2,800円ほど。亀ノ尾と並べて買い、米違いの飲み比べをするのが、この蔵を理解する一番の近道になる。