

栃木県益子町の外池酒造店が手がける「望bo:」シリーズの純米吟醸。地元・益子焼で知られる土地の蔵が、栃木県産ひとごこちを53%まで磨いて醸した一本を、編集部で日を改めて飲み直してみた。派手さで売る酒ではなく、食卓に置いて毎日付き合える顔つきが好ましい。
香りはおとなしめ。グラスに鼻を寄せると、青リンゴやライムを思わせる淡い吟醸香が立ち、その奥に米由来の穀物っぽい含み香がうっすら続く。純米吟醸らしい清潔感はあるが、香りで主張してくるタイプではないので、最初の印象は「静かで端正」だ。
一口含むと、なめらかな口当たりのあとに米の旨みがすっと広がり、日本酒度+4.5・酸度1.8の数値どおり、後半はきりっとした辛さとキレで締まる。甘みは控えめで、輪郭のはっきりした淡麗辛口寄りの味わい。酸が思いのほかしっかり効いていて、辛口でありながら平板にならず、料理を挟むと旨みがふくらんで戻ってくる。食中酒としての設計を強く感じる。
温度帯は冷酒(10〜13℃)が基本。冷たいうちはキレと酸の輪郭が際立ち、少し温度が上がると米の旨みが顔を出して丸くなる。ぬる燗(40℃前後)に振っても旨みが膨らんで悪くないが、この酒の持ち味であるクリアなキレは冷酒のほうが活きる。
ペアリングは、白身魚の刺身や塩の焼き鳥、天ぷら、湯豆腐といった淡い味付けの和食。脂や濃い味に寄り添うより、出汁や素材の味を邪魔せず流していく相性の良さがある。720mlで2,000円前後という価格を踏まえると、晩酌の定位置に据えやすい一本で、栃木の地酒を気負わず楽しみたいときに勧めやすい。