ねのひ 純米の酒
愛知県

ねのひ 純米の酒

蔵元: 盛田
純米 原料米: 国産米 精米歩合 70%
★ 4.2
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+2
酸度
1.8
アルコール度数
16.5%
価格目安
1,200〜1,400円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

焼き魚 煮物 もつ煮 おでん

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

愛知県常滑市で350年以上にわたり酒と味噌・醤油を醸してきた盛田。その日本酒ブランド「ねのひ」の定番にあたる「純米の酒」を、編集部として腰を据えて向き合った。アルコール16.5%、日本酒度+2、酸度1.8という数値がこの酒の性格をよく表している。注いだ色合いはやや黄味を帯び、香りより先に「これは食事と並べる芳醇な純米だ」という佇まいが伝わってくる。350年の蔵元が変わらず造り続けてきた、流行り廃りと無縁の実直な一本である。

香りは穏やかながら、芳醇タイプらしい厚みがある。グラスに鼻を近づけると、炊いた米や淡い穀物を思わせるトーンに、わずかに熟成由来のコクが乗る。アルコール16.5%ぶんのボリュームが鼻先にほんのり感じられ、吟醸香のような派手さはないが含み香はしっかりしている。香りで気を引く酒ではなく、口に含んでからの旨みと飲みごたえで勝負するタイプだと最初の一嗅ぎで察しがつく。

一口含むと、米の旨みが舌の上に厚く広がる。アルコール16.5%、酸度1.8という数値どおり、輪郭のはっきりした芳醇な味筋で、酸が旨みを引き締めて間延びさせない。日本酒度+2はやや辛口寄りの中庸だが、芳醇な旨みのおかげで「辛口=シャープ」というより「コクのあるやや辛口」と表現したい。後半は酸とともにすっとキレ、後味は意外と引きが早く二口目を誘う。温度帯の幅が広いのもこの酒の魅力で、冷酒(10〜13℃)では酸が前に出て引き締まり、ぬる燗(45〜50℃)に振ると旨みが一気にふくらむ。蔵が芳醇辛口と位置づけるとおり、燗での化け方が大きい。

ペアリングは、しっかり味付けした和の総菜と相性が良い。焼き魚、肉じゃがやぶり大根といった煮物、もつ煮、おでん。出汁と醤油のコクに旨みが共鳴し、酸度1.8が料理の脂を受け止めてくれる。淡い前菜より、味の濃い一皿に寄せたほうがこの酒の芳醇な持ち味が活きる。名古屋・知多の濃い味文化に寄り添う、食中酒としての懐の深さがある。

価格は720mlでおおむね1,200〜1,400円前後の実勢。350年の蔵元が造る定番純米としては手に取りやすい水準で、日常使いに無理なく置ける。なお本品は蔵公開のスペック(アルコール16.5%・日本酒度+2・酸度1.8)を基準にレビューしており、精米歩合は公開値が確認できなかったため一般的な純米の水準から編集部が推定した。香りで選ぶ人より、米の味と燗酒を軸に日本酒を飲む人にこそ勧めたい、知多の実直な芳醇純米だ。