

兵庫県東条特A地区の山田錦を使い、3年以上熟成させてから出荷する義侠の入門的な一本。義侠というと辛口で硬派なイメージが先行するが、この「縁(えにし)」はアルコール14度台と低めに設計され、熟成由来のまろやかさで間口を広げてある。価格も四合瓶で2,000円台前半と、義侠の世界に最初に触れるのに向いている。
精米歩合は60%。義侠の代表格である純米吟醸 山田錦60と同じ磨きだが、こちらは「特別純米」を名乗り、吟醸香を狙わず米そのものの旨みに振っている。色はうっすらと黄金がかり、3年寝かせた酒らしい落ち着きが瓶の中に見える。
日本酒度+1、酸度1.2。数字だけ見ると中庸だが、熟成によって角が取れているので、辛さよりも先に米の甘みとコクが立つ。冷やしすぎず、15〜18℃あたりや、ぬる燗まで温度を上げると、熟成のふくらみがいっそう開く。
合わせたいのは、出汁や醤油の効いた家庭的な煮物。おでん、肉じゃが、厚揚げ、鶏の照り焼き。派手な吟醸酒では受け止めきれない、しみじみした味付けの料理にこそ寄り添う酒だ。
義侠の中では手に取りやすい価格帯にあるが、原料と熟成への姿勢は上位銘柄とまったく同じ。「縁」という名のとおり、ここから慶(よろこび)や純吟へと縁をつなげていく、最初の一歩にふさわしい。