
愛知県江南市の山星酒造が手がける「星盛」は、1839年創業の蔵が地元向けに醸し続けてきた銘柄。この純米酒は愛知県産の酒米「若水」を精米歩合65%で使い、酸度1.0という低めの数字どおり、淡麗でクセのない仕上がり。派手さで勝負する酒ではなく、食卓の脇役に徹するタイプだ。
冷やで注ぐと、香りはごく控えめ。口当たりは軽く、日本酒度+1のすっきりした辛口で、酸が低いぶん角がなくまろやか。米の旨みはほどよく出るが厚すぎず、後味はさらりと短い。良い意味で印象に残りすぎない設計で、飲み疲れせず杯が進む。淡麗辛口の安心感がある一本。
温度の幅が広いのが扱いやすい。冷やではキレが立ち、常温でやわらかく、40℃前後のぬる燗にすると米の旨みがほんのり開く。料理に合わせて温度を選べるので、家庭の食中酒として重宝する。冷蔵庫に常備して気負わず開けられる気軽さがある。
合わせるなら、出汁の効いた和食全般。白身魚の煮付け、出汁巻き卵、冷奴といった繊細な味付けに、淡麗な酒が静かに寄り添う。天ぷらのような揚げ物の脂を流すのにも向く。濃い味や香りの強い料理だと存在感が薄れるので、淡い相手を選びたい。
四合瓶で1,200〜1,500円と、日常酒として無理のない価格。突出した個性はないが、毎日の晩酌で疲れず飲める淡麗辛口を探している人にちょうどよい。地元で長く愛されてきた理由がわかる、堅実な一本。