

浦霞といえば「きょうかい12号酵母発祥の蔵」。その12号酵母を冠した「No.12」は、佐浦のアイデンティティをそのままラベルにした一本だ。地元向けの純米吟醸(蔵の華)が穏やかな甘み寄りの食中酒なら、こちらは同じ蔵の華を使いながら12号酵母由来の爽やかな酸とキレで、辛口・後口重視に振った姉妹品といえる。
香りは控えめで、心地よい酸を含んだ清涼感のあるトーン。日本酒度+2〜+3、酸度1.4で、口当たりはすっきり。含むと米のうま味がふわっと出て、すぐに切れ味の良い酸が後を引き締める。「12号酵母らしい後味のキレ」を素直に体感できる設計で、ぐいぐい盃が進むタイプ。
冷酒(8〜12℃)で爽快感を立てるのが基本だが、ぬる燗にしても酸が崩れず旨味がふくらむ。蔵の華という同じ米でも、酵母と仕上げで「禅」や地元向け純米吟醸とは別の表情になるのが面白いところ。
ペアリングは脂や塩気のある料理。焼き魚、天ぷら、おでん、鶏の唐揚げなど、酸とキレで後口をリセットしたい食卓に向く。味の濃い惣菜と合わせても重くならない。
四合瓶で1,800〜2,400円前後と、純米吟醸としては手に取りやすい価格。「浦霞の歴史(12号酵母)を一杯で確かめたい」人に勧めたい、蔵の物語が詰まった食中酒だ。