

千代酒造「篠峯」の超辛口を担うのが、竹をあしらった「竹山(たけやま)」ラベルの純米山田錦だ。山田錦を66%(麹米60%・掛米70%)に磨き、旨みを意図的にそぎ落として辛口に徹した一本で、日本酒度+10という数値がそのコンセプトを端的に物語っている。同じ山田錦でも、最上級の吟和が甘みとふくらみを生かす方向なら、こちらは真逆のキレと辛さに振り切った対極のSKUだ。
香りはごく控えめで、吟醸香はほとんど主張しない。冷やした一杯目から、香りで楽しむ酒ではなく喉で味わう辛口だと伝わってくる、潔い造りだ。
口に含むと、まず最小限の旨みがすっと乗り、そこへ蔵特有のしっかりした酸が押し寄せる。この酸が辛さをさらに増幅させ、日本酒度+10の数値以上に切れ味鋭く感じられるのが竹山の真骨頂だ。後口に余分な甘さやだれは残らず、一杯飲むごとに口中がリセットされる。アルコール15度で重すぎず、冷酒でキリッと、ぬる燗にすると酸と辛さの輪郭がやわらいで旨みがわずかに顔を出す。
ペアリングは脂や塩気のある食中で映える。白身の刺身、焼き魚、塩辛、牡蠣といった海のものと合わせると、酸とキレが脂や旨みを洗い流し、料理の輪郭をくっきりさせてくれる。濃い味付けの肴をさっぱり受け止めたい場面に強い。
四合瓶でおよそ1,300〜1,700円と、超辛口の食中酒として日常使いしやすい価格帯。甘みやふくよかさより、徹底した辛さとキレで食事を進めたい辛口党に薦めたい一本だ。