

千代酒造「篠峯」の純米大吟醸クラスの頂点に位置するのが、この「吟和(ぎんわ)」である。山田錦を40%まで磨き上げた一本で、定番の凜々や竹山が日常の食中酒なら、こちらは贈答やハレの席を意識したフラッグシップ。同じ蔵の中でも、米のポテンシャルを最大限引き出すことに振り切った特別な造りだと、ラベルとスペックから伝わってくる。
香りは派手すぎない上品な吟醸香で、果実やわずかな花を思わせるトーンが穏やかに立つ。40%精米らしい雑味のない透明感があり、グラスを近づけた瞬間からクラスの違いが分かる。
口当たりはやわらかく、山田錦由来のきれいな甘みと旨みが丸く広がる。日本酒度+3・酸度1.2と数値はおとなしめで、辛さや酸で攻めるのではなく、ふくらみと長い余韻で聴かせる設計だ。アルコール17.3度と原酒に近い厚みがありながら重さは感じさせず、含んだ後にすっと伸びていく余韻が心地よい。よく冷やして香りと甘みのバランスを楽しむのが似合う。
ペアリングは繊細な料理に寄り添うタイプ。白身魚の刺身、鯛のしゃぶしゃぶ、湯葉といった淡白で上質な素材や、軽く脂ののった鴨ロースなどと合わせると、酒の透明感と料理の旨みが互いを引き立てる。濃い味付けよりも、素材を生かした一皿のほうがこの酒の品の良さが際立つ。
四合瓶でおよそ5,000〜5,500円。千代酒造の純米大吟醸として価格相応の満足度があり、篠峯の世界観を一本で象徴する贈り物にも向く。日常の凜々や竹山から一段上がって、蔵の最上級を味わってみたい人に薦めたい。