

甲子(きのえね)は、千葉県酒々井町で1688年から続く飯沼本家の代表銘柄。この純米吟醸は麹米に山田錦、掛米に五百万石を用い、精米歩合58%で仕上げた「匠の香」系の食中向き吟醸。アルコール度数は15〜16度の範囲で出荷されることがあるため、ここでは代表値として15度を記載した。
注ぐと、メロンやバナナを思わせる華やかな吟醸香がふわりと立つ。派手すぎず、香りと味のバランスを狙った現代的な造り。色はわずかに照りのある淡い山吹色。
口に含むと、ジューシーな甘みと米の旨みが厚みをもって広がり、日本酒度±0らしい甘辛のちょうど中間に着地する。中盤のふくらみに対して後半はほどよく酸が締め、余韻はやや長め。甘さが残りすぎないので、食事と合わせても重くならない。
冷酒(8〜12℃)で香りが最も開く。温度が上がると甘みが前に出てくるので、フルーティさを楽しみたいなら冷たいうちに飲みたい。白ワイングラスに注ぐと吟醸香がよく立った。
ペアリングは刺身全般、鶏の照り焼き、豚しゃぶ、だし巻き卵など。和食を軸にしつつ、甘旨のある料理とも噛み合う柔軟さがある。四合瓶で1,500〜1,800円と日常使いしやすい価格帯で、千葉の地酒の現代的な一本として勧めやすい。