甲斐の開運 純米
山梨県

甲斐の開運 純米

蔵元: 井出醸造店
純米 原料米: 夢山水・あさひの夢 精米歩合 60%
★ 4.0
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+3
酸度
1.4
アルコール度数
16%
価格目安
1,300〜1,600円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

白身魚の刺身 煮魚 湯豆腐 ほうとう

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

富士山北麓、河口湖の南岸 標高約860mに蔵を構える井出醸造店の「甲斐の開運」純米酒。もとは醤油醸造から始まり、1850年ごろに酒造りへと移った古い蔵で、富士山の伏流水と山梨県産の夢山水・あさひの夢を100%使う。「開運」の名は和宮降嫁の頃に縁起を担いで付けられたものと伝わる。精米歩合60%の素直な純米を、編集長 丸山が卓上で落ち着いて試した。(※日本酒度・酸度はSKU非公開のため、味の印象から夢山水系・富士伏流水らしい代表値として日本酒度+3前後・酸度1.4前後と置いて評価している)

注いだ色はごく淡い山吹色。立ち香は控えめで、炊いた米のふくよかさにわずかな白い花のニュアンスが重なる程度。華やかな吟醸香で前に出るタイプではなく、香りで主張しない設計だ。蔵の標榜どおり「柔らかな香り」という表現がしっくりくる。

口に含むと、まず軟水由来のなめらかな入り口があり、中盤で米の旨みがきめ細かく広がる。甘みは中庸で、後半は富士の伏流水らしい透明感のあるキレがすっと立つ。べたつかず、しかし線が細すぎることもない、バランス重視の純米だと感じる。冷酒(10〜13℃)では輪郭が締まり、ぬる燗(40〜45℃)に振ると旨みがふくらんで丸くなる。蔵自身が燗を勧めるだけあって、温度を上げたときの伸びが良い。

合わせたいのは、富士山麓らしい滋味のある食卓。白身魚の刺身や煮魚、湯豆腐といった出汁の効いた和食に寄り添い、地元の郷土食であるほうとうのような味噌仕立ての煮込みとも好相性。香りで主張しないぶん食中酒としての守備範囲が広く、塩気や出汁を受け止めながら米の旨みで返してくる。

突出した個性で人を驚かせる酒ではないが、富士伏流水の柔らかさと夢山水の旨みが素直にまとまった、晩酌に置きやすい一本。冷やでも燗でも崩れず、温度で表情を変えて長く楽しめる。富士山北麓のテロワールを手頃に確かめたいときに、まず手に取りやすい純米だと編集部は感じた。