

寛文元年(1661年)創業、宮城県最古とされる内ヶ崎酒造店。富谷の地で長く続く蔵の定番が、この特別純米酒「鳳陽」だ。派手さで売る現代的な銘柄とは一線を画す、地元に根づいた食中酒として確かめてみた。
香りは穏やかで、米と麹のやわらかな匂いが中心。吟醸香を前面に出すタイプではなく、料理の邪魔をしない控えめさが持ち味だ。冷やでも軽く立つ程度で、これはこれで日常の食卓に置きたくなる素直さがある。
口当たりは思いのほかなめらかで、日本酒度プラス1ながらほのかな甘みも残る。酸度1.6が中盤を引き締め、後半はすっとキレていく。突出した個性で勝負するのではなく、飲み飽きしないバランスのところに照準を合わせた造りだと感じた。
この酒の本領は燗にある。45〜50℃あたりまで温めると、米の旨みがふっくらと開き、香りも穏やかに広がる。冷やでも飲めるが、熱燗にしたときの伸びの良さこそ鳳陽らしさだろう。寒い季節に常備しておきたいタイプ。
ペアリングは焼き魚や煮物、湯豆腐といった家庭の和食全般と相性が良い。天ぷらのような揚げ物にも、燗で合わせると脂を流してくれる。四合瓶で1,400円台と価格も手頃で、毎日の晩酌の定番に据えやすい一本だ。