豊祝 純米酒
奈良県

豊祝 純米酒

蔵元: 奈良豊澤酒造
純米 原料米: 山田錦・奈良県産米 精米歩合 75%
★ 4.2
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+2
酸度
1.7
アルコール度数
15%
価格目安
1,300〜1,600円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

焼き魚 煮物 おでん 天ぷら

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

奈良市の奈良豊澤酒造による定番銘柄「豊祝(ほうしゅく)」。担当した純米酒は、山田錦と奈良県産米を組み合わせ、精米歩合75%で仕込んだ蔵の看板の一本だ。蔵は奈良市内で地元に根づいた造りを続け、奈良駅周辺の角打ち文化とともに親しまれてきた銘柄でもある。米を磨きすぎず、原料米の旨みを残した食中酒として設計されており、肩肘張らずに毎日の食卓に置ける性格を持っている。

グラスに注ぐと、ごくわずかに色味を帯びた、素直な佇まい。香りは穏やかで、蒸し米や炊いた米を思わせる穀物系のニュアンスが中心。吟醸香で華やかに迫るタイプではなく、純米らしい飾らない香り立ちだ。精米歩合75%と米をあまり削らない設計のため、原料米の香りがそのまま残るが、雑味として出るのではなく、落ち着いた旨みの予感として届く。

含むと、山田錦と県産米の旨みがふくらみ、後半はほどよい酸とともにすっきり引いていく。日本酒度+2・酸度1.7という数値が示す通り、辛すぎず甘すぎない、中庸でバランスの取れた設計だ。アルコール分は15度と扱いやすく、飲み疲れしにくい。突出した個性で押すタイプではないが、その分どんな料理にも寄り添う安定感があり、食卓に常備したくなる素直さがある。

温度帯の幅が広いのも美点で、冷やでは旨みが引き締まり、ぬる燗(40〜45℃)に上げると米の旨みがふっくら膨らんで酸が丸くなる。熱燗まで上げても崩れにくく、温度を変えながら長く付き合える。香りの華やかさより、料理と進める実用性で選びたい一本だ。

ペアリングは、出汁や塩気の効いた和食全般が好相性。焼き魚、煮物、おでん、天ぷらといった日常の皿に、この酒の旨みと酸が静かに寄り添う。価格は四合瓶でおおむね1,300〜1,600円(実勢)。奈良の地酒を手頃な価格で日常に置けるのはありがたく、派手さはないが食中酒としての完成度は高い。毎日の晩酌に静かに寄り添う一本として、編集長が常備をすすめたい奈良の定番だ。