

獺祭シリーズの中で最も流通量が多く、まず最初に飲んでほしい一本が、この純米大吟醸45だ。精米歩合45%という数字は、磨き二割三分(23%)や三割九分(39%)と比べれば「磨きが浅い」ことを意味するが、それは欠点ではない。むしろ獺祭の味の輪郭を最も素直に味わえる設計だと感じている。
グラスに注ぐと、まず洋梨やバナナを思わせる甘い吟醸香が立ち上がる。三割九分ほどの透明感は無いものの、香りの量感はしっかりあり、口に含むと米由来のふっくらした甘みが広がる。45%という磨きの分だけ、上位SKUよりも旨みのボリュームを残しているのが特徴で、飲みごたえの面ではむしろこちらを好む人もいるだろう。
二割三分の繊細なキレに比べると、45は中盤の甘みがやや長く残り、後半でゆっくり引いていく。良く言えば親しみやすく、家飲みの晩酌でだらだらと続けて飲める素直さがある。冷酒(8〜12℃)が基本だが、少し温度が上がっても崩れにくく、扱いやすさは抜群だ。
ペアリングは幅広い。鶏の塩焼きや白身魚のカルパッチョといった淡い料理はもちろん、だし巻き玉子やクリームチーズのような少しコクのある食べ物にも寄り添う。上位SKUだと料理を選びすぎる場面でも、45なら気軽に合わせられる懐の深さがある。
四合瓶で2千円台前半という価格は、獺祭の世界観を知る入口として申し分ない。磨き三割九分との価格差を考えると、まず45で獺祭の方向性を掴み、特別な日に39や23へ進むという飲み方を勧めたい。獺祭を語るうえでの基準点となる、最も実用的な一本だ。