

久留米の山の壽酒造は若い造り手が舵を取り、攻めた設計の酒を出すことで近年評価を上げている蔵。この純米吟醸は雄町を麹米50%・掛米60%で磨き、アルコールを13度に抑えた一本だ。低アルコールでも水っぽくならない、骨のある造りが面白い。
香りはやや控えめながら、雄町らしいふくよかさと、奥にほのかな果実のニュアンス。グラスのなかで温度が上がるにつれて、米の甘い香りがじわりと開いてくる。
味わいは入り口に雄町由来のやわらかい甘みと旨みがあり、酸がしっかり効いてだれない。13度という低めのアルコールのおかげで、口当たりは軽快なのに味の輪郭はぼやけない。日本酒度はやや甘口側の設計だが、酸の高さが全体を引き締めて、後口は思いのほかすっきりまとまる。
冷やしてジューシーに飲むのがまず気持ちいいが、常温に近づけると雄町の旨みが前に出る。低アルコールゆえ食前から食中まで飲み疲れしにくいのも美点。
ペアリングは鶏の唐揚げや豚しゃぶ、出汁の効いた煮物のほか、酸の働きでチーズとも合う。四合瓶1,800円前後で、雄町の旨みと現代的な軽さを両取りしたい人に向く。