新潟県

雅楽代 純米

蔵元: 天領盃酒造
純米 原料米: 五百万石ほか 精米歩合 55%
★ 4.4
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
±0
酸度
1.3
アルコール度数
14.5%
価格目安
1,600〜1,900円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

白身魚の刺身 前菜・先付け 天ぷら(塩) 和食(吸い物)

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

佐渡島・両津に蔵を構える天領盃酒造が立ち上げた新ブランドが「雅楽代(うたしろ)」だ。2018年、当時24歳で蔵を継いだ若き醸造長・加登仙一氏が「クリアで、軽やかで、穏やかな酒」を掲げて始めたシリーズで、近年すっかり人気銘柄として定着した。主役に立つのではなく飲み手にそっと寄り添う酒を目指すという思想を、編集部としても確かめながら一杯と向き合った。

香りは穏やかながら、ごくわずかに洋梨や白い花を思わせる含み香が立つ。派手な吟醸香で押すのではなく、あくまで軽やかな含み香にとどめてある。佐渡の水と五百万石を中心とした酒米で仕込まれた酒らしく、雑味のない澄んだ立ち上がりが印象的だ。精米歩合や数値は銘柄により非公開のものもあり、本稿のスペックは代表酒の味わいに基づく編集部推定を含む。

一口含むと、透明感のある軽やかな旨みがすっと舌に乗り、ジューシーな甘みがほんのり広がってから、きれいなキレで素直に引いていく。日本酒度はほぼ±0前後、酸はおだやかという飲み口で、甘辛のバランスは中庸。アルコール14.5度前後とやや低めの設計が、するすると飲める軽快さにつながっている。冷酒(8〜12℃)で香りと透明感が最も美しく開き、温度が上がると米の旨みがわずかに顔を出す。冷たい状態をキープして楽しみたいタイプだ。

合わせる料理は淡く繊細な味付けが似合う。白身魚の刺身や前菜・先付け、塩で食べる天ぷら、出汁を効かせた吸い物といった淡い和食と素直に寄り添う。香りも味も主張を抑えてあるぶん、食材の繊細な風味を立て、食事全体のテンポを軽やかに整えてくれる。脂の強い料理や濃厚な味付けよりも、素材の味を活かした料理でこそ本領を発揮する。

四合瓶で1,600〜1,900円前後と、人気銘柄としては比較的手に取りやすい実勢。流通は限られるが、若い醸造長が描く「新潟淡麗」の現代的な解釈を、無理なく試せる一本だ。クリアで軽やかな食中酒を探している人に、自信を持って勧められる佐渡の注目銘柄だ。