竹鶴 純米
広島県

竹鶴 純米

蔵元: 竹鶴酒造
純米 原料米: 八反錦・一般米 精米歩合 70%
★ 4.4
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+11
酸度
1.7
アルコール度数
16%
価格目安
1,400〜1,600円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

焼き魚 煮物 牡蠣の土手鍋 おでん

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

広島県竹原市、町並み保存地区に蔵を構える竹鶴酒造の定番純米。ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝の生家としても知られる蔵で、現在は全量純米にこだわる。最上級の「小笹屋竹鶴」ではなく、普段使いの「竹鶴 純米」を、燗を前提に編集長 丸山が向き合った一本。冷蔵庫から出した720ml瓶は、やや黄味を帯びた色合い。この時点で「磨いて香りを立てる酒」とは別の系譜だと分かる。

抜栓して常温で嗅ぐと、吟醸香のような華やかさはほとんどない。代わりに立ち上がるのは、みたらし団子のような香ばしさ、軽く焦がしたナッツ、そして熟成由来の穀物っぽい含み香。精米歩合は八反錦70%・一般米65%と、いわゆる磨きの浅い設計で、香りで売る酒ではないことを香りそのものが語っている。

味の核は、日本酒度+11という数字どおりの強い辛口の骨格と、酸度1.7が支える厚みのある旨み。冷酒(10〜13℃)では酸とアルコールの輪郭が前に出て、やや硬く感じる。本領はぬる燗(45〜50℃)から。温度を上げると締まっていた旨みがほどけ、米の甘苦いコクと酸が一体になって膨らむ。熱燗(55℃前後)でも香りが暴れず、辛口の芯がぶれない。冷やして飲む酒が増えた今、これは明確に「燗で開く」設計の酒で、温度帯で表情が変わる幅は今回試した銘柄の中でも大きい。

合わせたいのは、味の濃い温かい料理。焼き魚、煮物、おでん、そして広島らしく牡蠣の土手鍋。味噌や醤油のコク、脂や出汁のうまみに、竹鶴の酸と辛口がよく拮抗する。淡い前菜や白身の刺身に合わせると酒だけが強く出てしまうので、繊細な料理よりは骨太な一皿と組ませたい。

価格は720mlで実勢1,400〜1,600円ほど。この熟成感と燗適性を日常価格で味わえる点が最大の魅力で、福島・大七の純米生酛と並べて「お燗の常備酒」を選ぶなら有力な候補になる。淡麗で華やかな現代酒に慣れた人ほど好みが割れるが、燗をつけて濃い料理と合わせる飲み方がはまれば、長く付き合える一本。冷やして香りを楽しむ酒を探している人には向かない、という意味でも個性がはっきりしている。