

天山酒造の「七田(しちだ) 純米大吟醸」は、山田錦を精米歩合45%まで磨き上げた、七田シリーズの上位に立つ一本だ。低精米のイメージが強い七田だが、頂点には磨きを徹底した純米大吟醸を据えている。「磨かない酒」で名を上げた蔵が、磨いたときにどんな世界を見せるのか——その答えがこのSKUに詰まっている。
45%精米の山田錦は、雑味をそぎ落とした透明感が身上だ。香りはメロンや洋梨を思わせる華やかな吟醸香で、七割五分磨きの穀物様の含み香とは別世界。含むと上品で繊細な甘みがすっと広がり、酸度1.5・日本酒度+1.5前後のバランスが、甘さを引き締めながら長い余韻へとつなぐ。同じ蔵・同じ山田錦でも、精米歩合75%と45%でこれほど表情が変わるのかと、改めて磨きの意味を考えさせられる。
飲み頃は8〜12℃のよく冷えた状態。冷やすことで吟醸香と繊細な甘みの輪郭が締まり、上澄みのような透明感が際立つ。温度を上げすぎると香りが散りやすいので、ワイングラスで香りを楽しみながらゆっくり傾けるのが似合う一本だ。
ペアリングは繊細な料理が好相性。白身魚の刺身、ホタテのカルパッチョ、鯛のしゃぶしゃぶ、デザートのフルーツ。華やかな香りと澄んだ甘みが、淡い味わいの素材を上品に引き立てる。塩や柑橘を効かせた前菜にもよく合う。
四合瓶で3,000〜3,500円前後と、贈答にも向く価格帯だ。七割五分磨きから入ってこの純米大吟醸まで通すと、天山酒造が「磨く/磨かない」の両極を意図的に描き分けていることがはっきり分かる。七田を理解する締めくくりにふさわしい。