

群馬県館林市、明治期から続く龍神酒造が醸す「尾瀬の雪どけ」の純米大吟醸 山田錦50を、編集部で開けてみた。「尾瀬の雪どけ」は、華やかな香りとジューシーな甘みで全国的に知られる龍神酒造の看板ブランドで、山田錦・雄町・五百万石など複数の酒造好適米をそれぞれの個性に合わせて使い分ける造りで定評がある。このアイテムは山田錦を50%まで磨いた純米大吟醸で、グラスに注ぐとほぼ無色透明に近い澄んだ液体が現れ、立ちのぼる香りの華やかさにまず惹き込まれる。
香りは、メロンや白桃、洋梨を思わせる果実香が、グラスから顔を上げる前にはっきりと届く。「尾瀬の雪どけ」を象徴する華やかさで、吟醸香が前面に出る現代的な香り立ちだ。兵庫を代表する酒造好適米「山田錦」を50%まで磨いて使い(SKUにより39%・35%等の上位アイテムもあり、ここでは50%精米を代表として採用)、低温でゆっくり丁寧に醸すことで、香りの華やかさと味の繊細さを両立させている。
口に含むと、まず山田錦らしいなめらかな口当たりがあり、続いて心地よい甘みがふくよかに広がる。日本酒度はマイナス寄り(-3前後)・酸度1.5・アルコール度数16度前後の設計で、甘口でありながら柔らかな酸が全体を引き締め、ベタつかずにすっと収束していく。甘旨系でありながらキレが効いているので、一杯で満足してしまう重さはなく、香りと甘みを楽しみながら杯が進む。
温度帯は、よく冷やした冷酒(7〜11℃)で香りと甘みのフレッシュさが最も美しい。温度が上がると山田錦の旨みが開いて味わいに厚みが出るが、香りの繊細さを楽しむなら冷たい状態をキープしたい。アルコール度数も大吟醸としては穏やかで、香りの華やかさと相まって日本酒に不慣れな相手にも勧めやすい一本だ。
ペアリングは、甘みと華やかな香りを生かして、繊細な前菜や少し洋風の肴に当てたい。白身魚の刺身、生ハム、フルーツ、クリームチーズといった、香りと甘みが響き合う組み合わせがよく合う。価格は四合瓶でおおむね1,900〜2,300円(720ml実勢)。純米大吟醸クラスでこの香りと甘旨のバランスが楽しめるコストパフォーマンスは高く、贈り物にも日常の少し贅沢な一杯にも使える、群馬を代表する華やか系の一本だ。