

福岡県筑紫野市、太宰府天満宮にほど近い地で延宝元年(1673年)から続く大賀酒造の「大賀 純米吟醸」。福岡県最古とされる蔵元が、地元に根ざした実直な酒造りを続けている。代表銘柄「玉出泉」と並ぶ、蔵名を冠した王道の食中酒だ。
香りは穏やかで、ほのかな吟醸香に米の優しい含み香が重なる。山田錦を60%まで磨いた仕込みで、日本酒度±0前後、酸度1.4とバランス型。口当たりはやわらかく、米の旨みと軽い甘みがほどよく広がり、後半はすっきりとキレていく。突出した個性で押すタイプではなく、料理に寄り添う調和を狙った造りだ。
冷酒(10〜13℃)で香りと甘みが整い、ぬる燗(40℃前後)では米の旨みがふくらむ。どちらの温度帯でも破綻しない懐の深さがあり、季節や料理に合わせて温度を選べるのが利点。クセが少ないぶん、日本酒を飲み慣れない人にも勧めやすい。
ペアリングは和食全般。刺身、湯豆腐、天ぷら、煮物まで幅広く対応する。主張が穏やかなため食材の味を邪魔せず、毎日の食卓に置いておける一本。太宰府参拝の土産としても親しまれている。
四合瓶で1,700〜2,000円。華やかさよりも安定感を求める人向けの、長く付き合える純米吟醸。福岡最古の蔵が守る端正な味わいを、肩肘張らずに楽しめる基準酒だ。