

鍋島の主流が華やかな香り系の純米吟醸だとすれば、このClassicシリーズはあえて逆を行く一本だ。原料米は山田錦、精米歩合60%、アルコール15度。9号や14号といった古典的な清酒酵母を用い、現代的な吟醸香に頼らない「クラシックな」味わいを意図的に造り込んでいる。
香りは抑えめ。純米吟醸 山田錦の白桃やメロンを思わせる果実香とは対照的で、米と麹由来の落ち着いた含み香が主役になる。口当たりは穏やかだが、後半に旨みと適度な酸がのり、余韻に深みが出る。日本酒度+3、酸度1.6で、辛甘度+1・淡濃度+1と、ふくらみのある中庸〜やや濃醇寄りに位置する。
このSKUの真価は温度を上げたときに出る。冷酒でも飲めるが、ぬる燗から上燗(40〜50℃)にすると米の旨みと酸がほどけ、香り系の純米吟醸では味わえない温和な広がりになる。燗を前提に設計された数少ない鍋島だ。
合わせるなら、燗酒に寄り添う温かい料理。煮物、鰤の照り焼き、厚揚げ、もつ煮込み。脂やコク、出汁の効いた料理を、酸と旨みでまとめる。冷酒前提の五百万石とは正反対の使い方ができる。
価格は四合瓶で1,500〜1,800円前後。要冷蔵管理の生酒系とは違い、扱いやすさもある。鍋島=華やかという先入観を覆す一本で、燗好きや古典酵母の表情に興味がある人にこそ試してほしい。