三井の寿 純米吟醸 +14 大辛口
福岡県

三井の寿 純米吟醸 +14 大辛口

蔵元: みいの寿
純米吟醸 原料米: 山田錦 精米歩合 60%
★ 4.4
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+14
酸度
1.8
アルコール度数
14%
価格目安
1,600〜1,900円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

焼き魚 鶏の塩焼き 天ぷら もつ鍋

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

三井の寿(みいのことぶき)は福岡県三井郡大刀洗町、みいの寿が醸す銘柄。この「純米吟醸 +14 大辛口」は、日本酒度+14という数字をそのままラベルに掲げた、蔵を代表する辛口の一本。赤地に白いラインを背負った裏ラベルが、漫画『スラムダンク』の三井寿のユニフォームを思わせるとして知られ、銘柄名の読みが一致することから作中の人物名の由来になったという逸話も語られている。今回はその数字の印象に身構えながらグラスに向き合った。

香りは穏やかで、青リンゴを思わせる爽やかな吟醸香がほのかに立つ程度。+14という日本酒度から「刺すような辛さ」を予想すると、立ち香は意外なほど大人しく、これから何が起こるのかと身構えさせる静けさがある。派手な果実香を求める酒ではなく、香りで語らせない設計と受け取った。

一口含むと、まず米由来のほのかな甘みとしっかりした酸が舌に乗り、そこから辛さが追いかけてくる。アルコール度数は14%と純米吟醸としては低めだが、線が細いわけではなく、適度に締まった筋肉質のボディがある。辛口でありながら旨みを削ぎ落とさず、最後はスパッと切れていくのが心地良い。冷酒(8〜12℃)では酸とキレが際立ち、常温からぬる燗(40℃前後)に寄せると旨みがふくらんで角が取れる。温度で表情が変わるので、食事の流れに合わせて温度帯を動かしたい食中酒だ。

ペアリングは、味の濃い和食や塩気のあるつまみと好相性。焼き魚や鶏の塩焼き、塩で食べる天ぷらのほか、地元・福岡らしくもつ鍋のような脂と出汁の効いた料理にもよく寄り添う。辛口のキレが口中をリセットしてくれるので、こってりした皿が続いても重くならない。繊細な前菜より、しっかり味付けした主菜と合わせたい性格の酒。

価格は四合瓶(720ml)で1,600〜1,900円前後。純米吟醸でこの完成度と個性をこの価格で楽しめるのは、日常使いの一本として素直に勧めやすい。華やかさで売る現代的な甘旨系とは対極にある、数字どおりの辛口だが旨みを失わない芯の通った造り。辛口を「ただ辛いだけ」と敬遠してきた人にこそ、温度を変えながら一晩付き合ってみてほしい銘柄だ。