

「七號(ななごう)」は、真澄という蔵のアイデンティティそのものを名前にしたフラッグシップ。宮坂醸造は1946年に協会7号酵母が分離された発祥蔵で、その7号酵母を自社株として今も守り続けている。この銘柄は、その自社株7号酵母を、あえて山廃仕込みの純米大吟醸という最も難しい舞台に乗せた、蔵の技術の集大成だ。
原料米は長野県産の希少米・金紋錦を40%まで磨き上げる。山田錦のような華やかさとは違い、金紋錦らしいふくよかな旨みと骨格がある。山廃由来の力強い酸と、大吟醸らしい上品な含み香が同居し、中取り原酒ならではの密度の高い味わいに仕上がっている。日本酒度+1、酸度1.7という数値が、甘辛のバランスと厚みを物語る。
香りは派手すぎず、白い花や和梨を思わせる吟醸香に、山廃の乳酸的なニュアンスが奥行きを与える。口に含むと旨みが厚く広がり、余韻は長く、それでいて最後は山廃の酸がきれいにまとめる。同じ蔵の山花が「磨きと品」を見せる大吟醸だとすれば、七號は「酸と旨み」で攻める大吟醸。グレードは同格でも方向性は真逆だ。
ペアリングは、旨みの強い料理。白身魚の塩焼き、上等な鮨、ローストビーフ、出汁を効かせた煮物。山廃の酸が脂と旨みを受け止め、料理を一段引き上げる。冷やしすぎず12〜15℃あたりで供すると、香りと旨みのバランスが最もよくまとまる。
価格は720ml(化粧箱入)で6,000〜6,600円ほど。真澄の最上位クラスにあたり、贈答や記念の場にも選ばれる一本。7号酵母発祥蔵が「7号」を冠して出す酒、という物語性も含めて、飲む価値のある銘柄。