

久保田シリーズの中で最上位に位置する「萬寿」。久保田=辛口というイメージが先行しがちだが、萬寿に関しては「淡麗ながら艶やか」という形容のほうがしっくりくる。
香りはおだやかな含み香。獺祭のような派手な吟醸香ではなく、洋梨と若い米の香りがふんわりと立ち上がる。一口含むと、まず舌の中央で柔らかな甘みが広がり、それから縦にすっと米の旨みが伸びる。最後の引き際が早く、和食の出汁の余韻のように消えていく。
新潟の淡麗系の伝統を踏襲しながら、米の磨き(33%)と山田錦の使用で「淡麗の中の艶やかさ」を表現している。冷やしすぎると香りが閉じるので、 10〜13℃の冷酒〜涼冷えで開きやすい。
合わせる料理は、和食全般。刺身、焼き魚、お椀、天ぷら(塩)。出汁を効かせた料理との相性が抜群。逆に、ソースの強い料理や香辛料の強い料理だと、せっかくの繊細さが消える。
四合瓶で1万円前後と、純米大吟醸の中では中堅価格帯。家庭で年に2〜3回開ける贅沢として現実的な選択肢になる一本。