北海道

北の錦 純米酒

蔵元: 小林酒造
純米 原料米: きたしずく 精米歩合 60%
★ 4.1
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
±0(推定)
酸度
1.5
アルコール度数
16%
価格目安
1,500〜1,800円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

刺身 鮭のちゃんちゃん焼き 煮物 ジンギスカン

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

北海道夕張郡栗山町の小林酒造が醸す「北の錦」は、明治期の創業以来この地で続く道産酒の老舗ブランド。2009年から原料米を北海道産100%に切り替えたことで知られ、この純米酒も道産の酒造好適米「きたしずく」を主体に仕込まれている。グラスに注ぐとごくわずかに黄を帯びた色合いで、第一印象は派手さよりも「素朴な落ち着き」。プレミアム吟醸のような香りで主張するタイプではなく、北海道の食卓に寄り添う日常酒という佇まいだ。

香りは控えめで、炊いた米やほのかな乳を思わせる穏やかな含み香が中心。きたしずく由来とみられる軟らかな米の香りがそっと立ち、果実香は前に出てこない。鼻を近づけて探りにいく程度の香り立ちで、料理の邪魔をしない節度が好印象だった。

味わいは、口当たりがやわらかく、含むと米の素直な甘みが舌の中央に乗ってくる。日本酒度は蔵の公開状況により前後するため編集部の推定値だが、体感としては甘辛中庸でやや甘旨寄り。後半は酸度1.5前後のほどよい酸が支え、重たさを残さずきれいに引いていく。温度帯による表情の変化が大きく、冷酒(10〜13℃)では輪郭が締まり、常温〜ぬる燗(40℃前後)に振ると米の旨みが一段とふくらむ。燗映えする骨格を備えているのは、北海道の長い冬を支えてきた地酒らしい個性だ。

ペアリングは北海道の食卓を思い浮かべると分かりやすい。刺身、鮭のちゃんちゃん焼き、根菜の煮物、そしてジンギスカン。出汁や味噌、塩気のある素朴な料理と合わせたときに、この酒の甘旨と酸が料理を後押しする。繊細な吟醸香を期待するより、味の力で受け止めてほしいタイプの一本だ。

価格は四合瓶で1,500〜1,800円前後と手に取りやすく、日常の食中酒・燗酒として常備できる帯。なお北の錦には特別純米のまる田や雪梟など複数の上位純米があり、本稿はスタンダードな純米酒を対象としている。スペックの一部は流通各店の公開値に基づく代表値で、製造年度により前後する点は補足しておきたい。華やかさで選ぶ酒ではないが、道産米と燗で楽しむ北海道の純米として、地に足のついた一本。