

「紅葉」は、阿賀町産の越淡麗を50%まで磨いた純米大吟醸を三年間蔵で寝かせた、麒麟山では珍しい長期熟成酒だ。淡麗辛口でフレッシュさを売る蔵が、あえて時間軸で旨味を育てた裏番長的な一本。しぼりたて生の「ぽたりぽたり」が真逆の出口だとすれば、こちらは熟成で円熟させた対極のグレードとして編集長 丸山は対比した。
香りは穏やかながら奥行きがある。立ち上がりに熟成由来のはちみつやナッツを思わせる落ち着いた含み香があり、若い純米大吟醸の華やかさとは別種の艶を帯びている。
味わいは三年熟成らしく、しっとりまろやか。日本酒度+3・酸度1.5と数字上は中庸だが、寝かせたことで角が完全に取れ、旨味と滑らかさが渾然一体となって口中に広がる。淡麗辛口の蔵らしくダレた重さはなく、最後はきれいに収れんする。余韻が長いのがこの酒最大の個性で、同蔵の若い大吟醸とはまったく別の満足感がある。常温〜ぬる燗でも旨味が膨らむ。
ペアリングは秋冬の脂の乗った食材。ぶり大根や鴨ロース、きのこのソテー、熟成チーズなど、コクのある料理と素直に響き合う。淡い刺身よりは、味の濃い一品に合わせたい。
価格は四合瓶で3,500〜3,900円前後と、熟成と手間を考えれば納得の実勢。フレッシュな新潟酒のイメージしかない人にこそ試してほしい、麒麟山の振れ幅を体感できる一本だ。