

山形市の寿虎屋酒造は1715年頃の創業とされる老舗で、社名にもなった「霞城」は山形城の別名。蔵王の雪解け伏流水と県産酒造好適米「出羽燦々」を50%まで磨いた純米吟醸を、編集部として辛口の食中酒という視点で見ていきたい。
グラスに注ぐと色はほぼ無色。立ち香は控えめで、出羽燦々らしいすっきりした穀物香に、わずかに白い花を思わせる吟醸香が重なる。香りで押してくる酒ではなく、口に運ぶための導入という佇まい。
味わいは日本酒度+5・酸度1.4の設計が素直に表れていて、入りはなめらかながら中盤から後半にかけてのキレがとにかく鋭い。甘みは最小限で、伏流水由来の硬すぎない口当たりとシャープな切れ上がりが両立している。後味に雑味が残らず、料理の脂を流す方向で働く。
冷酒(8〜10℃)では辛口の輪郭がいっそう締まり、ぬる燗(40℃前後)にすると角が取れて旨みが前に出る。どちらでも崩れないが、個人的には冷やしてキレを楽しむ飲み方を推したい。
ペアリングは白身の刺身、冷奴、塩の焼き鳥、締めのそばなど、淡白で塩気のある料理に寄せると映える。四合瓶2千円前後という価格も日常使いの範囲で、辛口好きの定番に据えやすい。