

酒田酒造「上喜元 純米大吟醸 愛山50」は、希少な酒造好適米「愛山(あいやま)」を50%まで磨いた限定品。愛山は山田錦の系譜を引く兵庫の幻の米で、栽培が難しく価格も高い。酒田酒造はその愛山を「高い米の旨さをもっと多くの人に」という発想で50%精米に抑え、純米大吟醸としては手の届く720ml2,400〜2,800円に仕上げている。山田錦50が端正な王道なら、こちらは愛山特有の甘やかさで攻める、同蔵のもう一つの上位純米大吟醸だ。日本酒度-1、酸度1.3、アルコール16度。
香りはライチや白い花を思わせる華やかな含み香で、愛山らしい甘い気配が立つ。一口含むと、フルーティでまろやかな旨みが厚く広がり、日本酒度-1のわずかに甘い設計が愛山の持ち味と噛み合う。角の取れたなめらかな口当たりで、余韻は長く、甘みと旨みがゆっくり消えていく。+15の超辛や+3の山田錦50と並べると、この甘やかさと余韻の長さが愛山の個性だとよく分かる。
温度は冷酒(8〜12℃)で香りと甘みのバランスを楽しむのが基本。冷やしすぎると愛山の旨みが閉じるので、涼冷えくらいまで戻すとふくらみが出る。
ペアリングは、甘みや旨みのある上質な料理。ふぐ刺し、ホタテのソテー、鶏の治部煮、フルーツを使った前菜。料理の甘みと愛山の甘やかさが共鳴する。
希少米・限定品でありながら価格を抑えた、上喜元の「ご褒美に手が届く純米大吟醸」。山田錦50で蔵の王道を知ったあとに、愛山の個性を確かめる一本として強く印象に残った。