

「飛露喜 純米大吟醸」は、廣木酒造本店が兵庫県産山田錦を100%使い、精米歩合40%まで磨き上げたラインの頂点。化粧箱入りで贈答にも使われる位置づけで、2019年の首相主催夕食会で乾杯酒に用いられたことでも知られる。特別純米や黒ラベルが「食中酒の完成度」を競うのに対し、この純米大吟醸は「香りと余韻の艶やかさ」で勝負する別格の一本だ。
香りは飛露喜の中でも随一の華やかさ。白桃やライチを思わせる上品な吟醸香が立ち上がり、それでいて嫌味な甘ったるさはない。山田錦の高精白がもたらす雑味のなさが、香りの透明感をさらに引き立てている。
味わいはきめ細かく、シルクのような口当たり。日本酒度+3・酸度1.3のスペックどおり、甘辛では中口に位置するが、磨き由来の繊細な甘みと長く伸びる余韻が主役になる。アルコール16度と数字は標準的でも、含んだときの密度感は四割磨きならではのもの。冷酒(8〜12℃)で香りと甘みの均衡がもっとも美しく整う。
ペアリングは繊細な料理ほど映える。白身魚の昆布締め、帆立、鯛の薄造り、あるいは食後にフルーツと合わせても良い。濃い味付けにぶつけるより、酒そのものの香りと余韻を味わう「主役の一杯」として開けたい。冷やしすぎると香りが閉じるので、少し温度を戻しながら表情の変化を追うのが楽しい。
価格は四合瓶で5,000〜9,000円が実勢。飛露喜の中では最も高価な部類だが、化粧箱付きのギフトとしての存在感と、四割磨きの純米大吟醸としての完成度を考えれば妥当な価格帯だ。記念日や贈り物に一本選ぶなら、まずここを候補に挙げたい。