
「飛露喜 大吟醸」は、純米大吟醸と並ぶ廣木酒造本店の最上位ラインでありながら、醸造アルコールを少量添加した本来の「大吟醸」規格でつくられる希少な一本。山田錦を精米歩合40%まで磨く点は純米大吟醸と共通だが、アル添ならではのシャープなキレと吟醸香の伸びで、純米版とは明確に方向性を分けている。飛露喜の中でも流通量が少ない限定品だ。
香りは純米大吟醸に勝るとも劣らない華やかさで、リンゴや洋梨を思わせる吟醸香がまっすぐ立ち上がる。アル添によって香りの抜けが良く、グラスから立ち上る香気の輪郭がくっきりしているのが大吟醸版の個性だ。
味わいは純米大吟醸より旨みを抑え、すっきりとした骨格が前面に出る。日本酒度+4・酸度1.2のスペックどおり、甘辛では中口からやや辛口、ボディは軽快。含むと吟醸香が広がり、後口は驚くほど早く引いていく。この「香り高いのにキレる」バランスこそ、純米版にはない大吟醸の魅力だ。
ペアリングは淡麗な料理。白身魚の刺身、ふぐ刺し、あるいは塩だけで食材の味を引き出す皿や山菜天ぷらと合わせると、酒のキレが料理の余韻をすっと流して次の一口を誘う。濃い味付けには甘みの乗る純米大吟醸のほうが合うため、軽やかに香りとキレを楽しみたい場面でこの大吟醸を選びたい。
価格は四合瓶で5,000〜9,000円が実勢で、純米大吟醸と近い価格帯。ただし造られる量が少なく、店頭で見かける機会は純米版よりも限られる。純米大吟醸との飲み比べができれば、同じ四割磨き・同じ山田錦で「純米」と「アル添」がどう表情を変えるかを体感できる、飛露喜ファンにとって貴重な一本になる。