

福井県福井市の田嶋酒造による「福千歳(ふくちとせ) 純米」は、嘉永2年(1849年)創業の蔵が貫いてきた山廃仕込みの一本。天然の乳酸菌をじっくり育てる山廃造りを蔵の看板に据え、五百万石を65%まで磨いて醸す。代表銘柄「圓(えん)」の系譜にあたる王道の純米酒。
香りは控えめながら、含み香に山廃らしい乳酸由来のコクと、米・麹の落ち着いたニュアンスがある。一口含むと、厚みのある米の旨みと、それを支える1.6前後のしっかりした酸が一体となって押し寄せる。日本酒度+4のやや辛口で、旨みと酸のコントラストが効いた骨太な味わい。山廃ならではの奥行きが、後口に余韻として長く残る。
冷やでも楽しめるが、この酒はぬる燗〜熱燗(40〜55℃)でこそ本領を発揮する。温めると旨みと酸が一体に溶け、ふくらみのある燗酒になる。冬の鍋料理や煮込みと合わせると、酒と料理が互いを引き立てる。
ペアリングは、味のしっかりした和食。焼き魚、刺身、もつ煮、鍋料理。山廃の酸が脂やコクを受け止めるので、こってりした料理にも負けない。
四合瓶で1,500〜2,000円。山廃蔵としての評価が高く、全国の地酒専門店や蔵元のオンラインショップで入手できる。燗映えする一本を探している人に、まず試してほしい福井の純米酒。