富士山 特別純米
静岡県

富士山 特別純米

蔵元: 牧野酒造
特別純米 原料米: 山田錦 精米歩合 60%
★ 4.1
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+3
酸度
1.4
アルコール度数
15.5%
価格目安
1,400〜1,700円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

白身魚の刺身 鶏の唐揚げ ふきのとうの天ぷら 湯豆腐

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

富士山は、富士宮市の牧野酒造が手がける代表銘柄。創業は寛保3年(1743年)と古く、富士山の南麓・富士宮の穀倉地帯に位置し、富士山の伏流水(湧水)を仕込み水に使う蔵だ。カプロン酸の生成が穏やかな酵母を選び、添仕込みを基本とすることで、派手な吟醸香よりも軟水仕込みの柔らかい飲み口を狙っている。今回向き合ったのは、酒米を60%まで磨いた特別純米。

香りは穏やかで上品。富士山伏流水の軟水仕込みらしい清らかさが土台にあり、米由来のほのかな含み香がそっと重なる。吟醸香で主張するタイプではなく、グラスに注いでも香りが前に出すぎることはない。湧水仕込みの酒に共通する「水の柔らかさが香りに出る」感覚があり、最初のひと嗅ぎで角の取れた印象を受ける。

一口含むと、口当たりは驚くほど柔らかい。軟水仕込みらしいまろやかさで米の旨みがふくらみ、そのあと日本酒度プラス3・酸度1.4の数値どおりに穏やかにキレていく。辛口表示ながらシャープすぎず、柔らかさとキレが両立した中庸のバランス。温度帯は冷酒(10℃前後)で清涼感を楽しむのも、常温〜ぬる燗(40℃前後)で旨みをふくらませるのも、どちらも破綻しない懐の広さがある。

ペアリングは、白身魚の刺身や湯豆腐、ふきのとうの天ぷらといった淡めの和食とよく合う。鶏の唐揚げのような揚げ物に合わせても、軟水由来の柔らかさが脂を重く感じさせず、キレが口中をリセットしてくれる。富士山の伏流水で炊いた地元の料理に寄り添わせると、水の系統が揃って一段とまとまる印象だった。

価格は四合瓶で実勢1,400〜1,700円前後。富士山伏流水仕込みという土地の個性を、日常酒の価格で味わえるのは素直に推せるポイント。香りで魅せるタイプではないが、柔らかい口当たりと穏やかなキレで食事に寄り添う食中酒として完成度が高い。富士宮という土地の水を飲みたい人、淡麗だが角の立たない一本を探している人に向く銘柄。