

出羽桜酒造の「出羽燦々(でわさんさん)」は、山形県が約11年かけて開発した酒造好適米「出羽燦々」を100%使った純米吟醸。米だけでなく麹菌(オリゼ山形)も酵母(山形酵母)も山形産で揃えた、いわばオール山形仕様の一本。看板の桜花吟醸が山田錦と出羽燦々を併用するのに対し、こちらは出羽燦々一本で県産米の素性を真正面から見せにいく構成になっている。
香りは桜花吟醸ほど派手ではなく、控えめな吟醸香に米の旨みが寄り添う。一口含むと、出羽燦々らしいふくよかな甘みと旨み、そして純米らしい酸が立ち上がり、最後は穏やかにまとまる。日本酒度+4・酸度1.4で、辛口の骨格に旨みが乗った食中酒寄りの設計。香りで魅せる桜花吟醸に対し、出羽燦々は「飲み続けられる純米吟醸」という立ち位置で差別化されている。
温度はやや幅広く楽しめる。冷酒(10℃前後)で旨みと酸のバランスがよく、常温まで上げると米の甘みがふくらむ。ぬる燗にしても崩れにくい。
ペアリングは、山形の郷土料理から日常の総菜まで。芋煮、鶏のつくね、天ぷら、枝豆。旨みのある食事と合わせると酒の輪郭がはっきり立つ。
四合瓶で1,500〜1,900円。桜花吟醸とほぼ同じ価格帯ながら、香り重視か旨み重視かで性格がきれいに分かれる。山形の米と酵母で完結させた純米吟醸を試したいときの、わかりやすい一本。