

秋田県大仙市の出羽鶴酒造(秋田清酒)は1865年創業の蔵元。この純米吟醸「羽ばたきラベル」は、地元で育てた酒造好適米「秋田酒こまち」を55%まで磨いて仕込む定番品で、淡麗辛口に高めの酸を効かせたキレ重視の設計が特徴になる。
香りは穏やかで控えめ。吟醸香はあるが前に出てくるタイプではなく、軽やかな果実のニュアンスがほのかに漂う程度。一口含むと、すっきりとした飲み口から米の旨みが軽く広がり、すぐに酸が後ろから持ち上げてシャープに切れていく。日本酒度+1・酸度1.7という数値どおり、辛口の骨格に高めの酸が乗ることで、爽快なキレが際立つ。
酸度1.7という値が示すとおり、この銘柄のキャラクターを決めているのは酸のキレの良さ。冷酒(5〜10℃)で飲むと酸と辛口が引き締まり、飲み口の爽快さが最大化する。温度が上がると酸がやや角を残しつつ旨みがふくらむが、本来の持ち味を活かすなら冷たくして飲むのが推奨。後味がさっぱり切れるので、杯のペースが上がりやすい食中酒だ。
ペアリングは、淡麗な味付けの和食と高めの酸を活かせる料理。白身魚の刺身、酢の物、塩の天ぷら、焼き魚といった素材を活かした皿に寄り添い、酸のキレが料理の脂や旨みを軽やかに流していく。とくに酢を使った料理との相性が良く、酸どうしがぶつからず爽やかにまとまるのが面白い。
四合瓶で1,700〜2,000円前後。派手な香りで魅せる銘柄ではないが、淡麗辛口と高めの酸が生むキレの良さは食中酒として完成度が高く、和食と合わせて一杯また一杯と進めたい用途に向く一本として編集部は評価している。