

富山市の玉旭酒造は1808年創業、雪深い北陸で200年以上続く小さな蔵。その定番純米として知られるのが「五臓六腑に染み渡る純米酒」と銘打たれた一本で、流通名では玉旭 純米として扱われることが多い。今回はその実勢SKUを編集部で開けてみた。
立ち香はごく控えめで、炊いた米と穀物を思わせる素朴な含み香。冷やで一口含むと、まず広がるのは五百万石とてんたかくが醸す厚みのある米の旨み。酸度1.8とやや高めの設計が効いていて、甘ったるさに流れず、旨みの後ろに芯の通った酸が下支えしている。
冷酒では旨みがやや硬く感じられるが、この酒の本領はぬる燗にある。40〜45℃まで温めると米の甘みがふくらみ、酸が丸くなって舌の上で旨みが長く続く。日本酒度は+2前後と中庸だが、燗にすると数字以上に柔らかく、ほっとする飲み口に変わる。
ペアリングは派手さより日常の食卓に寄り添うタイプ。煮魚やおでん、タレの焼き鳥、肉じゃがといった出汁と醤油の効いた家庭料理と素直に合う。脂の強い料理にも酸が負けないので、少しこってりした副菜とも組みやすい。
価格は四合瓶で1,500〜1,900円ほど。毎日のローテーションに置きやすい価格帯で、香りで魅せるタイプではないものの、燗にして米の旨みを楽しむ純米酒として地に足のついた完成度を持つ。富山の地酒の素朴な良さを知る入口になる一本。