満寿泉 純米吟醸
富山県

満寿泉 純米吟醸

蔵元: 桝田酒造店
純米吟醸 原料米: 山田錦 精米歩合 58%
★ 4.4
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+2
酸度
1.5
アルコール度数
15%
価格目安
2,000〜2,500円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

白身魚の刺身 ぶり大根 白えびのかき揚げ 鶏の照り焼き

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

富山・東岩瀬の桝田酒造店が醸す満寿泉の純米吟醸を、編集長の丸山が改めて落ち着いて試した。満寿泉は昭和40年代、吟醸酒がまだ一般に浸透していない時代から「吟醸の満寿泉」を掲げてきた蔵で、富山における吟醸造りの先駆け的な存在として知られている。その看板の足元を支える一本が、この純米吟醸だ。グラスに注ぐと、淡いながらもどこか艶のある色合いで、最初の印象から「端正だが冷たくはない」温度感がある。

香りは華やかさと穏やかさの中間に位置する。白桃やメロンを思わせる吟醸香がふわりと立ち上がるが、それが派手に主張するのではなく、米由来の柔らかな含み香と溶け合っている。山田錦を58%まで磨いた純米吟醸らしく、果実のトーンの奥にふっくらとした米の甘い香りが控えている。グラスに鼻を近づけたときの第一波より、口に運ぶ直前の余韻のほうが豊かに感じられるタイプだ。

味わいの軸は、満寿泉らしい「ふくよかでたっぷりとした旨み」にある。一口含むと、まず米のふくらみのある甘旨が広がり、やや甘旨寄りのバランスで舌の中央を満たしていく。日本酒度はおおむね中庸からわずかに甘い側(編集部推定で+2前後)と見立てたが、数字以上に旨みのボリュームを感じる酒質だ。後半は酸がほどよく支えてだれずにまとまり、キレは鋭いというより穏やかに引いていく。温度帯は冷酒(8〜12℃)で果実香と輪郭が美しく出るが、常温に寄せると旨みのコクが膨らみ、ぬる燗まで温めると米の甘みがいっそう前に出る。一本で温度による表情の変化を楽しめる懐の深さがある。

ペアリングは、産地である富山の食材との相性がやはり想像しやすい。白身魚や白えびのかき揚げといった繊細で甘みのある素材を、満寿泉のふくよかな旨みが下から持ち上げてくれる。ぶり大根のような少し濃いめの煮物にも、燗にすればしっかり寄り添う。鶏の照り焼きなど甘辛い味付けとも喧嘩せず、旨み同士で手を結ぶ。淡麗一辺倒の食中酒というより、料理の旨みに厚みを足す方向の合わせ方が向く。

価格は四合瓶でおおむね2,000円前後(実勢2,000〜2,500円)と、純米吟醸としては手に取りやすい水準にある。吟醸の名門として名を馳せてきた蔵の世界観を、日常の食卓で気負わず味わえる一本という点に編集部としての評価を置きたい。華やかさと旨みのバランス、温度による表情の幅、そして価格の納得感。富山の食と合わせて常備しておきたい、地に足のついた純米吟醸だ。