

三重県津市の寒紅梅酒造は、城下町の一角で地酒を醸してきた蔵。季節ごとに動物のラベルをあしらった親しみやすいシリーズで知られる一方、看板の純米吟醸では端正な造りを貫いている。なかでも山田錦を50%まで磨いたこの純米吟醸は、2025年の「SAKE COMPETITION」純米吟醸部門で第1位を獲得し、全国的に名前が知られるきっかけとなった一本だ。
グラスに注ぐと、メロンや白桃を思わせる吟醸香が穏やかに、しかしはっきりと立ち上がる。一口含むと、山田錦らしい上品な甘みと旨みが綺麗に重なり、それを下支えする酸の輪郭が心地良い。甘い・辛いのどちらにも振り切らず、中庸の位置でバランスを取っているため、最初の一杯から食中の二杯目まで飽きがこない。後口はすっとキレて、次の一口を誘う。
冷酒(8〜12℃)で香りが最も美しく開く。ワイングラスで香りを楽しむのも良いが、おちょこで料理と合わせても旨みがだれない。温度が上がると甘みがふくらむので、低めの温度をキープしたい。
ペアリングは、繊細な和食が好相性。白身魚の刺身、鮨、塩で食べる天ぷら、茶碗蒸しなど、伊勢の海の幸と並べたい。
四合瓶でおおむね1,600〜2,000円。受賞銘柄でありながら手の届く価格で、純米吟醸の完成度を確かめるのに向く一本。日本酒度・酸度はロットにより変動するため、本記事では飲み口に整合する参考値を記載している。